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もう一度読みたい【エッセイ・自分たち探し】
 フリージャーナリスト 國米 家己三さんのシリーズエッセイ



「ひきこもり克服」には「明るい国家目標」が一番


 昨年来ずっと、「ひきこもり」が話題になっています。
他人とのコミュニケーションをきらい、ひたすら自宅にこもって外出もしない。ネットかゲームにはまって日を送る。特集「ネトゲ廃人」なる新語も生まれたとか。昨年、内閣府は「全国の引きこもりは推定70万人」と発表しました。
発表したけれど、これという対策はないようです。なにしろ日本はかって鎖国という国際的な引きこもりを演じた実績をもつ国。210年余にわたって海外進出もせず、外国人の移入も一部を除いて禁ずる政策をとってきました。この遺伝子が現代日本人のどこかに残っていて、引きこもりの病根は意外に深いのです。
作家の曽野綾子さんが書いていました。イタリアで出会ったキリスト教の日本人神父が「ローマには引きこもりの日本人青年がたくさん滞在していて、そういう一種の病人の心のケアをしてくれるには神父が一番いい、と親も当人も思うらしく、しきりにやってくる。彼らは皆優しくていじめには遭うが、いじめたことのない性格の人ばかり。どうして日本人は、もっといじめっこ子にならないんだろうね。悪いことをしてこそ、ああ、悪かった、と思える人間になるのにね」と話していた、と。
外出もしない若者がヨーロッパまで出かけ、そこで引きこもりをやって、引きこもり問題を国際化しているなんて図はまさに珍風景。
珍風景といえば、国内の刑務所で引きこもりが増えているそうです。与えられた仕事をサボると懲罰として独居房入りとなるが、他の受刑者と接触したくない者がそれを狙って作業を怠業する。これでは独居房は懲罰ではなく、憧れの対象です。
珍風景をもう一つ―。昨年の秋、ある新聞は報じました。
「菅直人首相が、昼、官邸の執務室で"孤食、"している―」
首相の"ひとりメシ"はいけないのか。一国のトップがいつもいつも取り巻きに囲まれているより孤食しながら沈思黙考するのは結構なことでは…。ところが、その記事はいいます。首相就任直後は官房長官やら秘書官、補佐官、与党幹部らを日替わりで官邸に招き会食していたが、夏の参院選敗北のあとは連日孤食に。とりわけ痛めつけられた臨時国会や尖閣沖の中国漁船衝突事件など外交で失点をかさねて支持率が急落してからはいよいよ孤影蕭条。そのころ仙石由人官房長官(当時)も「首相は躁鬱の気があり、引きこもって困る」とコメントしたほどです。
 ま、その後菅首相は「これまでは(総理の仕事を)仮免許でやってきたが、今後は本免許で頑張る」と張り切りだしたので孤食も打ち止めになったとは思いますが…。
 さて、全国引きこもり族を外へ引っパリ出す妙案はあるのか。早春の啓蟄では地中の生き物が暖かくなった明るい光を求めて穴から顔を出すが、屈折した思いを抱く引きこもり族は季節性のものではない。ここはやはり日本中が生産的な国家目標をもち、少子化だ、高齢化だといった暗い壁を吹き飛ばす明るい希望のある雰囲気をつくりだすしかないでしょう。菅首相が就任当初「最小不幸の社会構築」などと謳ったが、これでは逆効果。引きこもり族は、さらに穴の奥に入りこんでしまう。私見をいわせてもらえばノーベル化学賞を受賞した根岸英一さんがいう「人工光合成の開発」とか「太陽光発電の世界大の普及」に日本が先駆して大胆な集中投資をする。あるいは我田引水かもしれませんが、私が10年前から提唱している「日本人とこの国土を丸ごと世界のためのアトリエにする」といった壮大なプロジェクトに取り組む。明るい空気、雰囲気、夢のある環境。それこそが引きこもり旅立ち直らせの最高の対策だと考えます。