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TAMA団塊100

定年後実現させます

会社役員 救仁郷 徳(くにごう・めぐみ)さん(58歳・武蔵村山市)

「牧場をやりたい」それが小学生の頃の夢だった。動物もいろいろと飼った。学生時代はバイクで山を駆けた。ドキュメンタリー映画『地球交響曲(ガイア・シンフォニー)』をみた影響が大きく、写真家・星野道夫の世界に憧れ、彼が住んだアラスカの大地をレンタカーで旅したこともある。

 現在、エンジニアリング事業会社役員の要職をこなしながら、救仁郷さんの余暇は一貫して、自然を相手にボランティア活動する日々だ。奥多摩などをフィールドに山の保全ボランティア活動をし、2年前には長年放置されていた、鳩ノ巣にあるワサビ田の整備に参加。 うっそうとした急斜面の樹木を伐採することから始め、石垣の石を全部はがして、石垣を作り直す作業。その際、感激した出来事があった。

 「1トンはありそうな大きな石があったんですよ。機械が入れない場所だし、このままにしておくしかないなと思っていたら、地元の70代の方がハンマーを持ってこさせその石を叩くと、見事に割れてびっくり。石にも木目のような目があるんですね。割れた石は石垣に利用して、昔の人の知恵を強烈に教わりました」こうしてワサビの苗を植え付け、収穫ができるまで1年くらいかけてワサビ田を復活させた。

 今、多摩川の水源となる奥多摩の山々はシカ食害、山地の裸地化で土壌が流れる危機に直面している。「10年、20年先の目先のことではなく、100年先の展望を持って植林を考えなければいけない」と活動を続ける中で思う。

 しかし山には所有者があるので制限があり、自分の好きなようにはできない。「自分の山を持ちたい」そう希った救仁郷さんは定年後に備えて、生まれ故郷、鹿児島の田舎に山を買った。 「まず、そこに山の家を作りたい。すべて自分の手で完成させるのが夢。そして動物を飼って、最終的には馬を飼いたい」と話す、その笑顔は少年の眼に戻っていた。少年時代の夢を夢で終わらせず、実現へ向けてアクティブにスタンバイ中。これこそ団塊世代男性の憧れなのではないだろうか。

(文・ほのぼのマイタウン)