



多摩をつなぐ
千年に一度と言われる未曾有の東日本大震災。被害の甚大さが広範囲にわたり、原
発問題を含め未だに復興の道筋は不確か。そして決して他人事ではない。一方、心温
まる支援活動や現地の人たちの節度ある行動、ひたむきさは、世界的に注目され、
我々日本人が誇れるものともいえる。
新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。
新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。
多摩交流センター・東京TAMAタウン誌会共同企画記事
「公」から「個」で引き継ぐ 復興支援ボランティア「武蔵野まごころ連」(武蔵野市)武蔵野市の友好都市である岩手県遠野市が「遠野共まごころネット」を立ち上げ、 東日本大震災による沿岸部の被災地(岩手県大槌町・釜石市・大船渡市・陸前高田市)へ、 ボランティア活動等による支援に。武蔵野市民社会福祉協議会でも参加者を募り、岩 手県大船渡市での支援活動を実施してきた。ボランティア派遣は7回で終了し、その参 加者が集まり、「武蔵野まごころ連」を立ち上げた。

東京都社会福祉大会にて(表彰式)
「武蔵野まごころ連」紹介文には、「東日本大震災が起こった2011年の春夏に 武蔵野市民社会福祉協議会が企画した被災地支援に行ったメンバーのなかで、『続けよう、伝えたい、忘れまい』という想いを持った有志がおこした、災害ボランティアの集いです。これからもメンバーの特技や趣味を活かしながら、ずっと被災地を支えていきたいと考えています。」と記されている。世代や性別を超えて明るい人達が集まり、「楽しくなければボランティアじゃないをモットーに活動します。」とポジティブなボランティア集団。発足当初は15名ぐらいだったのが、現在では30名程度にメンバーも増えてきた。およその構成比は、学生が1/3、社会人が1/3、シニアが1/3。学生・社会人は、時間的にも余裕がないが、シニアは退職している人達なので、時間もあり(お金も)、一番活動している。
初代代表久保田厚史さんは亜細亜大の学生、就職活動のために、昨年12月の1周年記念懇親会時に、代表をバトンタッチした。バトンを受けた新代表は藤本枝里さん、同じく亜細亜大の学生。久保田さんは、ボランティア支援したお宅に、機会があればなるべく訪問するようにしている。「いつもボランティアで大船渡に来る度に家を訪ねてくれることが家族全員、とても嬉しいんです」、「気にかけてもらっていることが一番ありがたいんです」と温かなコミュニケーションができている。その家の犬ともすっかり仲良くなり、訪ねていくと、犬の大歓迎をうける。大船渡までの交通費・滞在費など、個人負担なので、1回で1万5千円から2万円ぐらいの出費になる。学生にとって、気軽に行けない。赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」の助成事業に認定されたこともあり、学生には「交通費半額補助」が出来るようになった。

福島県南相馬市の仮設住宅前の植え込みに
花を植える
活動は、被災者と一緒に仮設住宅の周りにお花を植える「花咲かプロジェクト」、放射線の影響でなかなか遊べない子どもたちと遠足へ行く「移動保育」、武蔵野市に避難してきた避難者のつながりづくりをめざす「ふれあい交流会」などに広がっている。
福島出身者がメンバーに加わり、福島へのボランティアをするようになった。「花咲かプロジェクト」で、岩手県では種を直播きしていた。だが福島へは「プランターを持って行き、そこに土をいれて種を蒔く」ようにしている。福島では除染する場合もあるので、直播きはできない。大船渡よりは近いので「行ける」確率は高くなる。
福島の果樹園では、品質が良く放射線の影響がなくても、風評被害で売上が激減している。残った果物はJAが買い上げるが、価格が極端に低く設定され、収入は落ちる。
陸前高田市のボランティアセンターは、12月末で閉鎖、対象地域で残っているのは、遠野まごころネットだけとなった。ボランティアを受け入れるにしても、市内に限定したりして、全国からのボランティアの受け入れを制限する動きがみられる。理由は、がれき処理等、今までの典型的なボランティア対象が無くなったため。膨大な量のがれきは、別の場所に移され、処理が始まった。被災地で「見られる光景」としてのがれきは減った。今までは、災害のマイナス面を、減らすボランティア。これからは、生活をサポートしたり、都会と被災地を結んで、新たに産業を生み出し、被災地の活性化に役立つなど、新しい形のボランティアが求められている。
武蔵野まごころ連は、昨年12月18日都庁第一本庁舎で、東京都社会福祉大会表彰「東日本大震災被災者 (地)支援活動特別感謝」を授賞した。
武蔵野まごころ連 (代 表:藤本枝里 Tel. 090-1810-2473)
武蔵野市吉祥寺北町1-9 -1 武蔵野市民社会福祉協議会気付
ブログ http://ameblo.jp/musa-mago/
(取材:週刊きちじょうじ)
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