多摩をつなぐ
千年に一度と言われる未曾有の東日本大震災。被害の甚大さが広範囲にわたり、原
発問題を含め未だに復興の道筋は不確か。そして決して他人事ではない。一方、心温
まる支援活動や現地の人たちの節度ある行動、ひたむきさは、世界的に注目され、
我々日本人が誇れるものともいえる。
新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。
新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。
多摩交流センター・東京TAMAタウン誌会共同企画記事
「東京消防庁災害時支援ボランティア」
阪神淡路大震災後に生まれた東京消防庁災害時支援ボランティア
災害時は、まずボランティアが頼り。消防署員・消防団だけでは人手不足。
平成23年1月23日 4署合同訓練
(武蔵野・西東京・小金井・三鷹)
武蔵野市消防署の災害時支援ボランティアは、普通救命・上級救命・リーダー・コーディネーター・応急手当普及員の資格が設けられ、各ボランティアが訓練等を通じてレベルアップを目指している。日頃は武蔵野市消防署の主催する訓練に参加。他に武蔵野市内の中学・高校・企業はもちろん、各地域団体などから依頼されると、応急手当・救命講習の指導者として活動している。またボランティアの見学会・研修会・親睦会も開催。いざという時の対処も落ち着いた行動をとれるように、親睦・訓練などを積み重ねることに余念がない。「人を助けるには、まず自身の身を守ること、家族など大切な人を守ることも大事です。」とボランティア講習ではまず教わる。
同支援ボランティアのひとり、中村茂美さん(武蔵野市在住)は、「むさしのFM」の放送ボランティアとして、街を取材して回っていた時に、たびたび交通事故の現場に遭遇した。殆どの人は、取り囲んでいるだけ、被害者に聞いて、親族などに伝えようと近くの公衆電話に中村さんは走った。当時はまだ携帯電話が普及していない時代。そこで、見ているだけではなく、正しい応急手当の知識があったら、なにか出来たはずと、消防署の救急講習に参加し、平成7年にボランティア登録した。そして上級、リーダー、コーディネーター、応急手当普及員の資格を取得し、活動をしているうちに、消防署署員の補助として、講習で指導するようになる。
平川豊武蔵野消防署長(当時)と
功労賞を手に中村茂美さん
中村さんのボランティア歴は、朗読ボランティア・むさしのFM市民の会の放送、ステージで司会等、多方面に活躍していたので、「お話し」は馴れたもの。そこで、災害支援ボランティアでは0歳児のお母さんの救命講習会を担当。通常の救命講習に加えて「お母さんの先輩」としての視点から「命の話」など加えたりする。受講する人の年齢や立場を考慮し、内容も工夫、教材も手作りして判りやすいと、中村さんを個人名で指名されることもあるとか。
今年に入って6月末で22回出動しており、昨年の出動は40回を越している。昨年10月1日に「地域防災力向上」に貢献したと、消防庁ボランティアとして、初めて東京都功労賞を受賞した中村さん。13年前から都全体のコーディネーター会にも参加、また昨年・今年と武蔵野消防署長と一緒に本庁の会議にも参加している。
「通常救急車の到着までに6〜7分かかる。これが、大震災ともなれば、救急車に頼れない。まず近くの市民が、救命などお互いに助ける能力を持たなければ、とても助からない。」と語る中村さんの眼差しは真剣そのものだった。
東京消防庁災害時支援ボランティアの問い合わせは、各地の消防署まで。
(取材:週刊きちじょうじ)