ほのぼのマイタウン 街・家族の活性化を支援します 小平市・東久留米市・清瀬市・東村山市・西東京市を結ぶ手作り情報マガジン


多摩をつなぐ


 千年に一度と言われる未曾有の東日本大震災。被害の甚大さが広範囲にわたり、原 発問題を含め未だに復興の道筋は不確か。そして決して他人事ではない。一方、心温 まる支援活動や現地の人たちの節度ある行動、ひたむきさは、世界的に注目され、 我々日本人が誇れるものともいえる。
 新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。



多摩交流センター・東京TAMAタウン誌会共同企画記事


「東京消防庁災害時支援ボランティア」
阪神淡路大震災後に生まれた東京消防庁災害時支援ボランティア
災害時は、まずボランティアが頼り。消防署員・消防団だけでは人手不足。

平成23年1月23日 4署合同訓練
(武蔵野・西東京・小金井・三鷹)
 東京消防庁災害時支援ボランティアは、阪神淡路大震災後の平成7年7月10日に設置された。大災害が発生すると、一度期に各所で消火・救助が求められまる。その様な場合、消防署署員・消防団だけでは、人手が足らない。そこで技術と知識を持った一般人を養成することになった。これが災害時支援ボランティアだ。 募集対象は、15 歳以上(ただし、中学生を除く)の東京都民で、次の技能を有する人、(1) 東京消防庁や財団法人東京救急協会が実施する普通救命講習以上の救命講習修了者等、応急救護の知識のある人 (2) 日本赤十字社の日赤救急員講習修了者 (3) 過去に消防職員、消防団員、消防少年団員指導者等の経験がある人、(4)消防設備士、危険物取扱者、火災調査経験者等の資格を有する者、となっている。現在約17,000人のボランティアが、都内80の消防署に登録している。
 武蔵野市消防署の災害時支援ボランティアは、普通救命・上級救命・リーダー・コーディネーター・応急手当普及員の資格が設けられ、各ボランティアが訓練等を通じてレベルアップを目指している。日頃は武蔵野市消防署の主催する訓練に参加。他に武蔵野市内の中学・高校・企業はもちろん、各地域団体などから依頼されると、応急手当・救命講習の指導者として活動している。またボランティアの見学会・研修会・親睦会も開催。いざという時の対処も落ち着いた行動をとれるように、親睦・訓練などを積み重ねることに余念がない。「人を助けるには、まず自身の身を守ること、家族など大切な人を守ることも大事です。」とボランティア講習ではまず教わる。
 同支援ボランティアのひとり、中村茂美さん(武蔵野市在住)は、「むさしのFM」の放送ボランティアとして、街を取材して回っていた時に、たびたび交通事故の現場に遭遇した。殆どの人は、取り囲んでいるだけ、被害者に聞いて、親族などに伝えようと近くの公衆電話に中村さんは走った。当時はまだ携帯電話が普及していない時代。そこで、見ているだけではなく、正しい応急手当の知識があったら、なにか出来たはずと、消防署の救急講習に参加し、平成7年にボランティア登録した。そして上級、リーダー、コーディネーター、応急手当普及員の資格を取得し、活動をしているうちに、消防署署員の補助として、講習で指導するようになる。

平川豊武蔵野消防署長(当時)と
功労賞を手に中村茂美さん

 中村さんのボランティア歴は、朗読ボランティア・むさしのFM市民の会の放送、ステージで司会等、多方面に活躍していたので、「お話し」は馴れたもの。そこで、災害支援ボランティアでは0歳児のお母さんの救命講習会を担当。通常の救命講習に加えて「お母さんの先輩」としての視点から「命の話」など加えたりする。受講する人の年齢や立場を考慮し、内容も工夫、教材も手作りして判りやすいと、中村さんを個人名で指名されることもあるとか。
 今年に入って6月末で22回出動しており、昨年の出動は40回を越している。昨年10月1日に「地域防災力向上」に貢献したと、消防庁ボランティアとして、初めて東京都功労賞を受賞した中村さん。13年前から都全体のコーディネーター会にも参加、また昨年・今年と武蔵野消防署長と一緒に本庁の会議にも参加している。
 「通常救急車の到着までに6〜7分かかる。これが、大震災ともなれば、救急車に頼れない。まず近くの市民が、救命などお互いに助ける能力を持たなければ、とても助からない。」と語る中村さんの眼差しは真剣そのものだった。
 東京消防庁災害時支援ボランティアの問い合わせは、各地の消防署まで。

(取材:週刊きちじょうじ)