ほのぼのマイタウン 街・家族の活性化を支援します 小平市・東久留米市・清瀬市・東村山市・西東京市を結ぶ手作り情報マガジン


多摩をつなぐ


 千年に一度と言われる未曾有の東日本大震災。被害の甚大さが広範囲にわたり、原 発問題を含め未だに復興の道筋は不確か。そして決して他人事ではない。一方、心温 まる支援活動や現地の人たちの節度ある行動、ひたむきさは、世界的に注目され、 我々日本人が誇れるものともいえる。
 新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。



多摩交流センター・東京TAMAタウン誌会共同企画記事


「防災まちづくり学校」の企画・運営、どこへでも「出前講座」、
「自分たちのまちは自分たちで守る」地域コミュニティづくり
防災まちづくりの会・東久留米(東久留米市)

 東日本大震災に伴う地殻変動により「立川断層帯」(埼玉県飯能市〜東京都府中市)の地震発生確率が高まった可能性があると、政府の地震調査委員会から8月に公表された。自分たちが住む町で震度6以上の地震が起きたらどうするか?災害に強いまちにするには防災意識が高い地域コミュニティづくりが必要と「防災まちづくりの会・東久留米」(金澤淳代表)では9年前から市民ボランティア団体として、地域防災力向上のためにさまざまな活動を続けている。

東久留米第五小4年生が避難場所を調べた結果を
3年生に教えているところ

この会は平成13年に東久留米市が主催した市民大学中期コース「東久留米を災害に強いまちにする」講座終了後、有志14名(男性6人、女性8人)で「防災の勉強をもう少し続けたい」と翌14年に発足させたもの。月例会を開き、外部セミナーや防災訓練への参加など勉強や討議をすすめるうちに、東久留米市を災害に強いまちにするために「防災まちづくり学校」の常設化を市に提唱。その結果、主催は生涯学習課であるものの、企画・運営は会が全面的に行い、市民大学の中期コースとして毎年実施している。これまで8回開催した学校の受講生総数は218名。その中には市会議員8名や自治会や自主防災組織から派遣されて参加した人も多い。
今年度も8月31日から12月14日まで全12回の講座が開講中。耐震補強、各種工法、家庭内や地域の自主防災、立川防災館見学や避難所の開設・運営に至るまでのカリキュラムが組まれ、そのうち半数の講座で会のメンバーが講師を務めている。創立時は14名だった会員も現在は70名を超えるほどになった。普通は行政サイドで実施するこのような防災講座を、市民ボランティアでやっているのは全国でも非常に稀なケースだ。

保護者や地域の人々も参観して質問中

 この他にも、出前講座、小学校の防災学習のサポート、自主防災かわら版の発行など活動は多岐に亘っている。中でも市内の自治会やマンションの管理組合に出向いて防災講話を開く出前講座はこれまで160回以上も実施。8月7日に東久留米第三小学校で行われた市内中央町の「中丸自治会」自主防災本部主催の防災訓練に協力。金澤代表が「なぜ地震が起きるのか?」「東久留米はどのくらい危険か?」等についてパワーポイントの画面を通して分かりやすくレクチャーした。「地震時の死因の83.9%が建物内ですから、いかに耐震補強や家具の固定が大切か、自分の身は自分で守らねばならないのです。阪神淡路大震災の教訓として、被災者を救助したのは消防、警察の23%に較べ、近隣住民というのが77%ですから、まずは自助、共助が第一です」
 中丸自治会は70世帯余りからなる自治会だが、この日は90名もの参加者。自治会役員が1軒1軒を訪ね、参加を呼びかけたという。この自治会では防災まちづくり学校の卒業生が中心となり、自主防災本部を立ち上げたばかり。「『みんなで守ろう家族と地域』頼りは向こう三軒両隣り!」をスローガンに、この日は起震車による地震体験を始め、煙体験やAEDの操作訓練、アルファ米の試食など本格的な防災訓練。「20年住んでいるが、知らないことばかりだった。自分は自身が守ること、そして地域の助け合いがいかに大事かわかった」と参加者の一人。東久留米では自治会は140あるものの、このような自主防災組織は26団体とまだ少ない。「防災まちづくりの会・東久留米」が地域へ果たす役割は大きい。
小学校の総合学習の時間に続けてきた防災学習は、勉強した4年生が工夫をこらし3年生に教えるという成果を上げてきたが、「ゆとり教育の見直しで、総合学習の時間を減らされるのでは?と懸念しています。『世代を引き継ぐ防災教育』は何とか残してほしい」と金澤さん。さらに「自治体と市民の防災意識は車の両輪の関係。市と協働して地域コミュニティの再構築をはかり、安全安心で住みよい町にしたい」と。このような市民団体が多摩地域にもっと増えてほしいものだ。

■防災まちづくりの会・東久留米 連絡先 042−421−6295(金澤)

(取材:ほのぼのマイタウン)