ほのぼのマイタウン 街・家族の活性化を支援します 小平市・東久留米市・清瀬市・東村山市・西東京市を結ぶ手作り情報マガジン


多摩をつなぐ


 千年に一度と言われる未曾有の東日本大震災。被害の甚大さが広範囲にわたり、原 発問題を含め未だに復興の道筋は不確か。そして決して他人事ではない。一方、心温 まる支援活動や現地の人たちの節度ある行動、ひたむきさは、世界的に注目され、 我々日本人が誇れるものともいえる。
 新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。



多摩交流センター・東京TAMAタウン誌会共同企画記事

継続支援の担い手、個人ボランティアの人々(多摩市)


東日本大震災からの復興には多くの時間と汗が必要である。個人でできるボランティアはたとえ小さな力であっても、継続すれば必ず大きな力になる。――今回は多摩市内で宮城県石巻市を中心に支援を続ける個人ボランティアの人々を取材した。



東日本大震災から1年9ヶ月、復興への継続的な支援が個人ボランティアの手で続けられている。今年6月に宮城県石巻市小網倉浜への漁業支援を実施した『多摩市災害復興支援ボランティアの会』(代表・大井田重夫)は、今年3月に発足した。昨年6月に同市への災害復旧ボランティアに参加したメンバーが、継続支援を目的に活動している。
メンバーのひとり増田実生さんは東日本大震災の日から1ヵ月後、テント、ガソリン、水、食品などを車に積み、単身で石巻市に跳んでいる。自衛隊が遺体捜索をしているそばで、家屋に津波で流れ込んだ泥と瓦礫の撤去作業に参加。行政の支援が届きにくい被災者への支援を継続していく必要性を実感したと言う。

大井田重夫さん

同会代表の大井田重夫さんも、多摩市社会福祉協議会の呼びかけで石巻市への災害復旧ボランティアに参加している。「このボランティアには100名を超える人が参加しました。私の行き先は牡鹿半島の小網倉浜でした。覚悟はしていましたが、テレビで見る震災の様子をはるかに超えた異常な光景に圧倒されました」
そんな中、浜辺の瓦礫を撤去しながら、絡んだ網を丁寧にはずし、碇や浮などを取り外す作業が続いた。「大切な漁具を再び使いたい」と言う現地の人々の声を受け止めた。
それから1年後、大井田さん達は再び小網倉浜に向かった。今年は漁業再開の支援のため、牡蠣の種付けのしかけ作りや、稚貝をロープに付け替える作業に取り組んだ。1年後・2年後の収穫を目指す、現地の人々との共同作業に18日間30名が参加している。更に仮設住宅での『つるし雛教室』や「餅つき大会」なども企画、心と心の交流も広がっている。
「再び小網倉浜を訪れることができ、多くの困難や悲しみを乗り越えて、力強く生活されている姿に元気をいただき感謝です」と、参加者の声などを掲載した機関紙『おしか』を発行し、来年に向けたボランティアの募集もするなど、積極的な継続支援を続けている。
同会のボランティア募集で小網倉浜への支援に参加した塩見優希子さんも個人ボランティアを継続している。平日は仕事をしているため、週末に東日本大震災支援の日帰りバスツアーを利用し、4月には宮城県山元町へ。イチゴ栽培の復旧のため畑作業に汗を流した。「東北で栽培された食品を購入することも支援のひとつ。福祉バザーでの石巻復興イベントのお手伝いもする予定です」と地域でできる支援にも力を注ぐ。
「東日本大震災の風化を遅らせたい」と言う水野智子さんは、故郷岩手県滝沢村が震災に襲われている。山間部のため被災は免れたものの数日間連絡が途絶え不安がつのった経験を持つ。その想いを現地の人々と共有しながら様々な支援を続け、現在では、岩手県沿岸部高校生への大会出場費の募金活動や、岩手県の復興を願う『復活暦』(*1)の普及などを支援している。さらに、被災地で飼い主と住むことができない犬猫を預かる『東京動物環境支援協会』(*2)を通じ、福島県いわき市で迷子になった犬の里親に。1ヵ月後、無事飼い主の住む南相馬市に帰すことができたが、その後も1匹の犬を家族の一員として迎え入れた。水野さんはこれからも里親の支援活動を続けたいと言う。
地道な支援がやがて大きな力となることを教えてくれる個人ボランティアの取り組みに期待するとともに、自らも今できることから始めたい。

●『多摩市災害復興支援ボランティアの会』連絡先:大井田重夫090-2660-1041
*1『復活暦』http://iwatepikapika.com
*2『一般社団法人東京動物環境支援』http://yamanekoan.fan-site.net/hisaichishien.html

「多摩市災害復興支援ボランティアの会」の機関紙
「おしか」創刊号
                     

(取材:週刊もしもししんぶん)