ほのぼのマイタウン 街・家族の活性化を支援します 小平市・東久留米市・清瀬市・東村山市・西東京市を結ぶ手作り情報マガジン


多摩をつなぐ


 千年に一度と言われる未曾有の東日本大震災。被害の甚大さが広範囲にわたり、原 発問題を含め未だに復興の道筋は不確か。そして決して他人事ではない。一方、心温 まる支援活動や現地の人たちの節度ある行動、ひたむきさは、世界的に注目され、 我々日本人が誇れるものともいえる。
 新年度「東京TAMAタウン誌会」では、多摩地域の支援活動や防災活動に目を向 け、紹介する中に地域の絆や防災へのキーワードを見つけ出してみたい。



腹話術ボランティアで社会貢献
人形を介して人々を楽しませ、自分も楽しむ仲間づくり
TAMAチャターズ(東村山市)

パペットとともにTAMAチャターズのみなさん

 「さぁ、準備体操から始めましょう」と講師の中本しゅうさんの音頭で音楽に合わせて屈伸運動が始まった。それから顔の表情筋を動かす練習。口を右に左に、舌先を上に突き出し・・・参加の皆さんは一所懸命な中にも笑顔が溢れる。ここは東村山市地域福祉センターの講座室、腹話術愛好者の会「TAMAチャターズ」のレッスン風景だ。この日の参加者は27名、うち男性5名。40代から70代までのメンバーがそれぞれお気に入りのパペット(人形)片手に月2回腹話術の練習に励み、楽しい仲間づくりをしている。
 ボランティアに活かせる腹話術を広めたいと池田武志さん、中本しゅうさん夫妻が1999年、東久留米に「東京チャターズ」を創立。東村山市に住まいを移したのを機に東村山でも腹話術を通した仲間づくりをしたいと、2006年ボランティアセンターで無料講習会を実施したのを機に、参加者有志で発足したのが「TAMAチャターズ」。東村山市だけではなく、狭山市や吉祥寺からやってくるメンバーもいる。
 参加者が持つ人形はかわいい男の子や女の子、犬、羊、サルなどの動物、中にはおばあさんやカメもいる。「オレオレ詐欺」と「クリスマスの思い出」を題材に皆の前で二人のメンバーが腹話術を演じる。台本を自分で作り、人形のキャラクターや動きを考え、人形と自分の声を使い分ける。頭を働かせ、手と口はフル回転。普段は使わないような身体の細胞を駆使するようになり、人前で話すことが苦手だった人も人形とジョークを飛ばせるほどに上達するそうだ。クリスマス会ではメンバー全員がそれぞれの腹話術を発表した。

講師の池田武志さんと中本しゅうさん

 「あくまで人形が主役で、腹話術師は一歩下がった位置に足を置くサポーター役です。人形をいかに生きているように動かすかが大切。台本を作ることで物事を客観的に見、想像力を働かせて、人形に投影させもう一人の人格を作る。腹話術はその方の人生そのものが出るものです」と池田さん。
 年3回の自主公演のほか、会メンバーは市内の小学校土曜講座や老人福祉施設、障害者施設など年間数十箇所に、慰問公演をしている。公演を依頼し、楽しみに待っていてくれる人たちも多く、メンバーに共通するのは“人を喜ばす喜び”。「定年後の生き甲斐です。見る人々の反応がじかにキャッチできて、皆と笑いを共有できますから」と人形を抱きながら話す男性会員の方。
 池田さん夫妻は10年前に腹話術普及と発展のために「NPO法人日本腹話術師協会(JVA)」を立ち上げ、現在武志さんは会長、しゅうさんは副理事を務めている。多摩各地のチャターズも加盟し、毎年開催されるJVA腹話術の祭典では海外からも講師を招き、ワークショップやセミナーなどで技術の向上や交流をはかっている。
 このように腹話術は表現力、技術力において高度で面白いエンターティンメントであるだけでなく、近年は医療や教育現場などで心理ケア、コミュニケーション能力促進のためにその活用が注目されている。実際、それまで一度も言葉を発することがなかった5歳児が腹話術の人形を介在させることで、言葉を発するようになった事例がある。3年前には専門家による「日本パペットセラピー学会」が設立された。
 多摩4市で活動しているチャターズの会員には、海外の腹話術フェスティバルに参加したり、大学の講師をするほどになったメンバーもいる。今後の普及のために、池田さんの後継者となるような腹話術インストラクターの養成にも力が入れられている。

TAMAチャターズ 練習日 第2、4月曜日(東村山市地域福祉センター)

 (取材:ほのぼのマイタウン)

<多摩地域の他のチャターズ・グループ>
東京チャターズ(東久留米市東部地域センター)
八王子チャターズ(八王子市民会館)
昭島チャターズ(昭島アイポック) 
4団体の問合せ TEL042-309-3770(中本しゅう) http://members.jcom.home.ne.jp/chatters/ 


<関連情報>
NPO法人日本一芸協会 くるめ一芸会(東久留米市)
手品、草笛、コマ曲芸、腹話術、チンドン屋など一芸を持つメンバーがボランティアで高齢者施設や学童クラブ、自治会の催し、お祭りなどに演芸の出前を行なっている。昨年は44回の公演実績。見る人々を楽しませ、メンバーも一芸発表の場として楽しんでいる。
連絡先:TEL 042-473-2403(会長 田端六郎)
朗読ボランティア 虹の会(瑞穂町)
町内の視覚障害者に町報・議会だより・虹の会独自に必要と思われる情報などをテープに吹き込み、当事者宅に毎月届けている。また、子どもたちに向けて読み聞かせ・手作りの人形による人形劇・季節のイベントなどを町内各図書館や公民館などで行っている。
連絡先:TEL 042-556-3402(代表 村田芙恵美(ふえみ))
小平カトレアハーモニー(小平市)
ハーモニカを愛好する人々のサークル。特別養護老人ホームやデイサービスなど5か所で定期的にボランティア活動。童謡・唱歌、歌謡曲を伴奏し、高齢者におなかから声を出し歌を楽しんでもらい、メンバーも元気をもらっている。
連絡先:TEL 042-344-5777(市東正利)